お中元・お歳暮を贈ってはいけない相手

感謝を伝えるつもりが、かえって相手を困らせたり、法令上の問題になったりする相手・職業があります。贈る前に確認してください。

結論は、仕事上の利害関係がある公務員(国家公務員倫理規程で受け取りが禁止)と、選挙区内の人に贈る政治家(公職選挙法で寄附が禁止)です。公立学校の先生は辞退する学校が多く、大学教授は利害関係が無ければ対象外です。お歳暮でも同じ扱いです。

相手の区分ごとの注意点の一覧

相手注意の理由贈る前にすること
公務員倫理規程で、利害関係者からの物品の受け取りが禁止されている利害関係の有無を確かめ、迷うときは控える
学校の先生公立学校の教職員は地方公務員にあたる。私立でも内規で禁止の場合がある品物ではなくお礼の手紙などで伝える
政治家公職選挙法で、選挙区内の人への寄附が名目を問わず禁止されている相手(政治家側)の方針を確認する
大学教授等利害関係が無ければ対象外。国公立は公務員に準じる場合がある共同研究・審査員などの関係の有無を確認する

公務員

国家公務員には「国家公務員倫理規程」があり、利害関係者(許認可や契約等で関わりのある事業者・個人)からの金銭・物品の受け取りが禁止されています。地方公務員にも同様の倫理規程が自治体ごとに定められていることが一般的です。日頃お世話になっている取引先の窓口が公務員だった場合でも、利害関係にあたる相手であれば贈らないのが安全です。身内や、業務上の利害関係が無い個人的な友人としての付き合いであれば対象外になる場合もありますが、判断に迷う場合は控えるのが無難です。

どんな取引先が「利害関係者」にあたるか(国家公務員倫理規程 第2条)

利害関係者は、職員が職務として行う事務ごとに決まります。条文が挙げる主な類型は次のとおりです。取引先の窓口が公務員なら、自社がこのどれかにあたらないかを確かめてから贈ります。

職員の事務利害関係者にあたる相手
許認可等許認可を受けて事業をしている事業者、申請中の事業者・個人、申請しようとしていることが明らかな相手
補助金等の交付交付を受けて事業をしている事業者・個人、申請中または申請しようとしていることが明らかな相手
立入検査・監査・監察検査等を受ける事業者・個人
不利益処分処分をしようとする場合の名宛人になるべき事業者・個人
行政指導指導により、現に何かをする(しない)よう求められている事業者・個人
事業の発達・改善・調整その事業を行っている事業者
国の支出の原因となる契約契約を締結している事業者、申込中または申込もうとしていることが明らかな事業者

条文にはほかに、予算・定員の調整を受ける国の機関も挙がっています。職務との利害関係が潜在的にとどまる者などは、各省庁の長の訓令で対象から外されることがあるため、所属先ごとの扱いは先方の倫理担当で確認します。

部署が替わっても安心はできません。異動前の担当の利害関係者が、異動後も引き続きその官職の他の職員の利害関係者であるときは、異動の日から3年間は、異動した職員の利害関係者とみなされます(第2条第2項)。昨年まで贈ってよかった窓口担当者が異動した場合も、この期間は同じ扱いになりえます。

第3条第2項が認める例外は、広く一般に配布する宣伝用物品・記念品、立食パーティーでの記念品、職務での訪問先から提供される物品の使用、会議での茶菓や簡素な飲食物などです。個人宛のお中元・お歳暮に当てはまる例外は挙がっていません。

利害関係者でなくても、5,000円を超える贈答は報告の対象になる

国家公務員倫理法の第6条は、本省課長補佐級以上の職員が事業者等から金銭・物品などの贈与や供応接待を受け、1件の価額が5,000円を超えるときは、四半期ごとに贈与等報告書を、翌四半期の初日から14日以内に各省庁の長等へ出すと定めています。利害関係者でない事業者からの贈り物でも、この報告が必要になる場合があります。お歳暮の品が5,000円を超えると、受け取る職員に報告の手間が生じるため、公務員の知人には贈る前に先方の所属先の扱いを確かめます。報告の対象になる職員の範囲や詳しい扱いは所属先の倫理担当によります。

職場に届いたお歳暮・お中元を受け取る側の注意

国家公務員倫理規程の第3条は、職員が利害関係者から金銭・物品・不動産の贈与(せん別、祝儀、香典、供花などに類するものを含む)を受けることを禁じています。例外として挙げられているのは、広く一般に配布する宣伝用物品や記念品などで、お歳暮・お中元の品は条文上の例外に入っていません。利害関係者から届いたときは、個人で判断せず、所属の倫理担当に相談して返送などの扱いを決めるのが安全です。

民間企業宛に届いた品を社内でどう分けるか、贈答を禁止する会社での扱いは、会社ごとの規程で決まります。会社の規程や上司の指示に従ってください。

学校の先生

公立学校の教職員は地方公務員にあたるため、上記の公務員と同じ理由で贈答を辞退する学校が多くあります。私立学校でも、保護者からの贈答を一律に禁止する校則・内規を設けている場合があります。感謝を伝えたい場合は、品物ではなく、お礼の手紙や、学校を通じた正式な謝辞(PTA活動等)で伝える方法があります。相手の種別(公立・私立・習い事・保育園)ごとの受け取りの扱いと確認先は、現役の先生へのお中元・お歳暮・お礼の品にまとめています。

政治家

公職選挙法では、政治家が自分の選挙区内の人・団体に金銭や物品を贈ることを、名目を問わずほぼ全面的に禁止しています(「三ない運動」=政治家は贈らない、有権者は求めない、有権者は受け取らない)。この規制は主に政治家から有権者への寄附を対象としていますが、政治家側が受け取りを控える運用をしていることも多く、後援会関係者等へお中元・お歳暮を贈る前に、相手(政治家側)の方針を確認するのが安全です。

大学教授等

大学教授は、企業との間に利害関係(共同研究・審査員等)が無ければ、一般的な贈答の禁止対象にはなりません。ただし、その企業・団体との間に倫理規程上の利害関係がある場合は、公務員に準じた制限がかかることがあります(国公立大学の教員は国家公務員・地方公務員に準じる扱いを受ける場合があります)。

よくある質問

すでに公務員の知人へお中元を贈ってしまった場合はどうすればよいか
相手から辞退の連絡があれば、その意向に従って引き取る、または今後は控えるのが適切です。判断に迷う場合は、相手の所属機関の倫理窓口に確認することもできます。
民間企業に勤める公務員OB・OGにも同じ制限があるか
退職後は公務員としての倫理規程の対象外になるのが一般的です。ただし、再就職先との利害関係によっては別の規制(再就職等規制)が関わる場合があります。
学校の先生にお礼を伝えたいときは、品物以外にどんな方法があるか
品物ではなく、お礼の手紙や、学校を通じた正式な謝辞(PTA活動等)で伝える方法があります。私立学校でも保護者からの贈答を禁止する内規がある場合があるため、贈る前に確認すると安心です。
政治家の後援会関係者にお中元・お歳暮を贈ってもよいか
政治家側が受け取りを控える運用をしていることも多いため、贈る前に相手(政治家側)の方針を確認するのが安全です。
大学の教授にお中元・お歳暮を贈ってもよいか
企業・団体との間に共同研究や審査員などの利害関係が無ければ、一般的な贈答の禁止対象にはなりません。利害関係がある場合や国公立大学の教員の場合は、公務員に準じた制限がかかることがあります。
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